世界で一番青い空
キヤノンギャラリー<2009年>
日本を出発してから、憧れのサハラ砂漠を見るまで、ほぼ丸三日、移動し続けなくてはならない。物理的な時間もさることながら、一日一本のみの長距離バスに乗らなくてはならないなど、交通の便の悪さもあり、どんなにがんばっても、これ以上短くすることができないのだ。

こうまでしてサハラ砂漠に行くには、当然理由がある。広大な赤い砂の世界、時が止まっているかのような静かな時間、そこに住むエキゾチックな砂漠の民など、数多くの理由があるが、もっとも大きな理由は、僕が今まで見た中で一番青い空がそこにあったからだと言ってもいい。 

青空を作り出している太陽の強烈な光に魅かれ、僕はいつでも写真を撮り続けた。時には40度を軽く超える気温の中、また時には身体に刺さるような寒さの中でさえも。意外に思えるかもしれないが砂漠にもしっかり季節があり、冬の寒さは日本とそう変わらないほどだ。しかし、気温に関係なく砂漠に降り注ぐ光は、いつも強烈なまま……

その光だけでなく、強烈な光が作る影の部分も、僕にとっては魅力的なものだった。それは直接的に影として写ったり、写真上でシャドーとして表現されたりと形を変える。光と影の強いコントラストが撮影していてとても心地よかった。また、光が乏しい夜にも、昼とくらべたらとても弱い光だが、心に強く残る光を感じた。

広大な砂漠を照らし出す光と、世界で一番青い空の下・・・僕はその居心地の良さを感じながら、これからも静かにシャッターを押し続けることだろう。