COLORS-LAOS, DON DET
富士ギャラリーギャラリー<2017年>
タイトルにある『DON DET』とは、ラオス語で『デット島』という意味です。東南アジアの内陸国・ラオスの最南部、メコン川の中洲にあるデット島は、周囲わずか7kmほどの小さな島。舗装された道はなく、水牛や鶏、豚などの動物はとにかくたくさんいて、見渡す限りの田んぼがあるだけで、島の周囲はメコン川。その茶色く濁った水の向こうに見えるのは、もうカンボジア…というほど国境ギリギリの、とてものどかな島です。
 
このDON DETを知るきっかけは、とても偶然なことでした。アフリカのサハラ砂漠でたまたま会った世界一周をしている人とのふとした会話で、『これまででどこが一番素敵な場所でしたか?』と聞いてみたところ、『DON DETかな』という返事をもらいました。それから約10年、これまでに10回もDON DETに通い続けることになるとは思ってもみませんでした。

小さな島にはたくさんの顔なじみができ、居心地が良すぎるほどになりました。毎回あまり何も考えずに島にのんびりと滞在し、気になった写真を好きなように撮って…「そろそろまとめよう!」と意を決して10年分の溜まりまくった写真を見直した時、色のカラフルさに気がつきました。東南アジア特有の強い色味の被写体…またそこで暮らす人々を、1日の中で太陽の光が色を変えながら照らし出していました。「あぁ、これに魅力を感じて、10年も撮影してきたんだな…」30代の僕が無我夢中になって気がついていなかった島の魅力を、40代になって写真展をやることで、やっと認識することができました。そして写真展のタイトルは『COLORS-LAOS,DON DET』にしました。
 
僕が知っている世界の中では、一番快適で、一番のんびりとしてて、一番過ごしやすく、そして人に一番おすすめできる場所…それがDON DETです。