レソト日和
コニカミノルタプラザ
熊本アートギャラリージャッド<2015年>
僕が初めてレソト王国を訪れたのは、2009年12月。新しい撮影地を探していた僕は、ガイドブックを開いたところに行こうと決め、そこでたまたま開いたのがレソトでした。そんな偶然からレソトに行ってみたのですが、そこでステキな孤児院と出会いました。僕はそこで子どもたちと一緒に生活しながら写真を撮り、その暮らしぶりを『チビッコハウスへようこそ!』という写真展(キヤノンギャラリーにて2011年夏・開催)にまとめることができました。

ただ、レソトに何度も行っても、その孤児院の中だけで撮影していたので、実際のレソトの国がどういう様子なのか、まったく知りませんでした。そこで、『チビッコハウスへようこそ!』の写真展が終わった後、再びレソトに行き、今度は孤児院の外の世界を旅するようになりました。

レソト王国は国の全土が標高1,500m以上、最高地点が3,482mのタバナントレニャナ山(アフリカ大陸南部最高峰)という山ばかりの国です。『天空の王国』とも呼ばれるレソトの平地がほとんどない山道を、小さなレンタカーを借りてチビッコハウスの友だちと一緒に旅をして回りました。

運転の多くは彼らがしてくれたのですが、車がスピードの出し過ぎでスリップして制御不能になったり、何度もパンクしたり、飛び石でフロントガラスが割れたりと、車に関するトラブルはいっぱいありました。しかし、最終的には毎回無事にレンタカーを返却し、日本に帰ることができたにはホっとしたりしました。

日本と同じように季節がしっかりあり、山に囲まれた国ならではの雄大な景色を背景に、そこに暮らす人々とたくさんの出逢いがありました。標高が高いからこその澄んだ光を使って撮影された、レソト王国のなんでもない日常の記録、それが『レソト日和』なのです。